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東京高等裁判所 昭和61年(行コ)79号 判決

東京都港区高輪四丁目二四番三六号

控訴人

王優

東京都港区高輪四丁目八番三三-八〇一

控訴人

大原徹也

神奈川県伊勢原市桜台二丁目一八番二四号

控訴人

王正貫

埼玉県朝霞市根岸台七丁目四番一四号

控訴人

大橋寿美

東京都武蔵野市吉祥寺北町一丁目一番一九-九〇一

控訴人

王公美

右控訴人ら五名訴訟代理人弁護士

吉永精志

東京都港区芝五丁目八番一号

被控訴人

芝税務署長

白岩光則

右指定代理人

河村吉晃

小林康行

山中順次郎

守屋和夫

主文

一  本件控訴を破棄する。

二  控訴費用は控訴人らの負担となる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴の趣旨

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が、昭和五四年二月二八日付けでした控訴人王優に対する相続税の更正及び過少申告加算税の賦課決定(ただし、いずれも異議決定及び裁決により一部取消し後のもの)並びに同年七月九日付けでしたその余りの控訴人らに対する相続税の再更正及び過少申告加算税の賦課決定は、いずれもこれを取り消す。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  控訴の趣旨に対する答弁

主文第一項同旨

第二当時者の主張及び証拠

原判決事実摘示及び等審証拠目録記載のとおりである。

ただし、原判決二一枚目裏四行目の「同表」を「別表三」と訂正する。

理由

一  当裁判所は、控訴人らの本訴請求は棄却すべきものと判断する。その理由は原判決の理由と同一であるからこれこを引用する(控訴人らが当審で提出した甲第四五ないし第四七号証、第四八号証の一ないし七を加えても原判決の認定を左右しない。)。ただし、次のとおり付加訂正する。

1  原判決三八枚目表一~二行目の「協和信用から」を「協和信用からの」と訂正する。

2  同五〇枚目表九枚目の「相続人から」を「相続人からの」と訂正する。

3  同五〇枚目表九行目の「三〇五六万九八四五円」の次に「(二二三六万九八四五円と八二〇万円の合計)」を加える。

4  同五二枚目表二行目の「原告」を「原本」と訂正する。

二  被相続人王輝と控訴人王優の資産の帰属関係について付言するのに、成立に争いのない乙第一一号証、弁論の全趣旨により原本が存在し、真正に成立したと認められる乙第五五号証(ただし、添付書類中の一枚目のみ)、原審証人林広志、原審における控訴人王優、同大原徹也各本人尋問の結果(後記信用しない部分を除く。)によると、次のとおり認められる。

被相続人は、妻である控訴人王優と終戦前東京に居住し、被相続人が会社勤めをしていたが、終戦後いったん台湾に帰国し、昭和二三年頃再び東京に戻り、港区新橋四丁目で中華料理店を始め、昭和三四年頃に同じ店の二階をホテルにし、それらの店番や経理面を控訴人王優にまかせ、自らは貿易その他に専念し、昭和四二年に道南園芸(土地分譲等)を設立かて経営し、かたわら、パーマやマージャン屋をも経営してそれらの取仕切りを控訴人王優にまかせ、次いで、昭和四四年七月同控訴人を代表取締役とする十合企業(土地売買仲介業)を設立し、又、被相続人の弟である王栄の設立した協和企業(不動産売買仲介業及び遊技場経営)を昭和四十四年八月栄の死亡後実質的に引き継ぐなどし、被控訴人王優の協力のもとに、手広く営業して利益を得、次第に蓄財した。しかし、右両名の間では、夫婦のことでもあるので、その財産を截然と分け合って所有関係を明確に区別するようなことはなく、両名とも、一家の支柱であり、事業経営の中心的存在たる被相続人の所有に帰属されるものであることを前提とする認識のもとに、不動産、預金、貸付金債権等につき被相続人において管理支配し、本件預金及び貸付金等も右の状況のもとに被相続人が管理支配していたものでることが認められ、原審における控訴人王優、同大原徹也各本人尋問の結果中右認定に反する部分は、その供述のあいまいな点に照らし措信できない。

三  以上の理由により、原判決は相当であるから、民訴法三八四条により本件控訴を棄却する。

訴訟費用の負担につき、行訴法七条、民訴九五条八九条九三条適用

(裁判長裁判官 菅本宣太郎 裁判官 秋山賢三 裁判官山下薫は転官につき署名捺印することができない。裁判長裁判官 菅本宣太郎)

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